人型ロボットマラソン

栄燿は2013年12月、華為技術の低価格帯ブランドとして誕生したスマートフォンメーカー。華為技術が2020年11月、米国から5G対応半導体の供給停止などの制裁を受けたことから、そのブランド、企業ごと深セン市智信新信息技術に売却された。正式に人型ロボットの開発を始めたのは2025年3月に入ってからだ。4月から研究組織を立ち上げ、5月には開発機がトップスピードで4メートル/秒に達したと発表した。6月にはそれまでの10人体制から組織の拡大を始め、直近では200人近くまで人員を増やしている。参入から僅か1年で業界トップの技術水準に達するといった驚異的な成長を遂げた企業である。

「栄燿」はスマホ製造において多くのサプライヤーと密接な取引がある。そうした取引先の中から例えば、EV、ドローンなどの精密機械、スマホ、PCなどのコンシューマーエレクトロニクス製品の部品メーカーである広東領益智造からは、159点に及ぶコアとなる筐体部品、表面処理技術の面で協力を得ており、また、同じく部品メーカーの藍思科技からは頭、手、寛骨、脚など132点となる部品の供給、奥比中光からは3D視覚システムの提供を受けている。多くの協力先、自社技術があったからこそ、設計、AI、ナビゲーション部分の研究に多くの資源を投入することができ、効率よく短期間でトップレベルの製造技術を獲得できたといえよう。国産化率は9割を超えている。

人型ロボット全体でみれば、高度なカンフーを演じたり、機敏な動きが求められるダンスを披露したり、人とのスムーズな会話のできたりするロボットが既に開発されている。大脳小脳を更に密接に連動させた汎用AIの開発が次のブレークスルー目標になるのではなかろうか。  我々が思っている以上に中国のイノベーションの速度は速い。人型ロボットの進化がAI革命とともに、着実に世界を一変させようとしている。

日本が劣勢なのは中国のスピードが速すぎるからだ。マラソンでいえば先頭を走る中国は視界から見えなくなっている状況だ。人、物、金、そのすべてが桁違いなのだ。中国は日本をお手本にしてきたのではなく、中国はアメリカと同じやり方をしてきた。いくつものベンチャーが生まれ、競争に打ち勝ち、大企業がタケノコのように産まれている。日本にも多くの優秀な人材がいる。しかし企業や社会は彼らを飼い殺しにしている。残念だが。

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