私を支えた本

大学生時代に、ヘルマン・ヘッセの「クヌルブ」に出会った。岩波文庫では「漂泊の魂」である。クヌルブは才能ある前途洋々の青年であった。それが14歳の時に失恋して、全てを捨てて放浪の旅に出る。彼は吹雪の中死に行くときに神と対話する。「私の人生はこれでよかったのか」と。

私は大学院時代に助教授から言われたことがある。「あなたはなんか危なっかしい、順調にいっていてもすべてを突然捨ててしまいそうな気がする」私の理想とする人生は「クヌルブ」のような人になることだ。私は学生時代に大失恋をしたことがあった。女性不信になった。それは今でもある。会社を何社も移ってきた。そのまま勤めていれば偉くなれるのにと言われた。

ただ私はクヌルブのように死ぬ時に自分の人生が良かったなんて聞かない。私は自分で納得して生きてきた。自分が授かった才能を最大限に使って生きてきたところはクヌルブとは決定的に違う。

ヘルマン・ヘッセの人生は波乱万丈だった。そして精神病院にも入院する。そしてノーベル賞、ゲーテ賞を受賞する。ヘッセの著書はヘッセそのものである。この静かな夜に「人は成熟するにつれ若くなる」でも読もうか。年齢を重ねることは楽しいことだ。人生は長生きをして、ちゃんと生きてきて長生きをすることが一番幸せなことなのだ。

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