千人計画に44人の日本人

海外から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクト「千人計画」に、少なくとも44人の日本人研究者が関与していたことが、読売新聞の取材でわかった。日本政府から多額の研究費助成を受け取った後、中国軍に近い大学で教えていたケースもあった。政府は、経済や安全保障の重要技術が流出するのを防ぐため、政府資金を受けた研究者の海外関連活動について原則として開示を義務づける方針を固めた。

読売新聞の取材によると、千人計画への参加や表彰を受けるなどの関与を認めた研究者は24人。このほか、大学のホームページや本人のブログなどで参加・関与を明かしている研究者も20人確認できた。

 千人計画に参加した理由については、多額の研究費などが保証され、研究環境が日本より魅力的だとする研究者が少なくなかった。

 44人のうち13人は、日本の「科学研究費助成事業」(科研費)の過去10年間のそれぞれの受領額が、共同研究を含めて1億円を超えていた。文部科学省などが公開している科研費データベースによると、受領額が最も多かったのは、中国沿岸部にある大学に所属していた元教授の7億6790万円で、13人に渡った科研費の総額は約45億円に上る。

 米国は千人計画について「機微な情報を盗み、輸出管理に違反することに報酬を与えてきた」(司法省)などとして、監視や規制、技術流出防止策を強化している。海外から一定額以上の資金を受けた研究者に情報の開示を義務づけているほか、エネルギー省は同省の予算を使う企業、大学などの関係者が外国の人材招致計画に参加することを禁止した。重要・新興技術の輸出規制の強化も検討中だ。

 日本では現在、千人計画への参加などに関する政府の規制はなく、実態も把握できていない。政府は米国の制度などを参考に今年中に指針を設け、政府資金が投入された研究を対象に、海外の人材招致プロジェクトへの参加や外国資金受け入れの際には開示を義務づけることを検討している。

 今回確認された44人の中には、中国軍に近い「国防7校」に所属していた研究者が8人いた。うち5人は、日本学術会議の元会員や元連携会員だ。

 中国は民間の最先端技術を軍の強化につなげる「軍民融合」を国家戦略として推進し、最新鋭兵器を開発・導入するとともに、日本周辺でも覇権主義的な行動を強めている。日本政府は軍事転用可能な技術が中国に流出すれば、日本の安全保障環境の悪化につながると強く懸念している。

 国防7校のうち、「兵器科学の最高研究機関」とも呼ばれる北京理工大には4人が所属。「ロボット研究センター」で、人工知能(AI)やロボット工学、ロボット製造に活用できる神経科学などを研究・指導していた。同センターは、弾道ミサイルの誘導や軍民両用ロボットなどを研究してきたとホームページで説明している。

 同センターに所属していた研究者は、読売新聞の取材に、「私の研究も、大学で進むロボットの研究も、軍事転用は可能だ」と語った。民間技術と軍事技術の線引きは困難だと指摘する研究者もいた。

 北京航空航天大にも4人の日本人が所属していた。同大は、大量破壊兵器であるミサイル開発の疑いがあるとして、貨物や技術の輸出時には経済産業省の許可が必要な「外国ユーザーリスト」に記載されている。

 同大に所属する宇宙核物理学の研究者は、「軍事転用される危険性はどんなものでもある」としつつ、「教えているのは基礎科学の分野で、軍事転用とは最も距離がある。経産省の許可も得ている」と強調した。

 この件はアメリカが発端だ。FBIはこの犯罪性について調査している。

ハーバード大学化学・化学生物学科長の教授チャールズ・リーバーは、2020年6月、千人計画への関与を隠した虚偽証言の罪により刑事訴追された。リーバーはハーバード大学と米国国立衛生研究所(NIH)に雇用されながら、千人計画を通じて中国の武漢工程大学でも専属の「戦略科学者」として働いていた。リーバーは千人計画から毎月5万ドルの給料や15万ドルの生活費を得ていたうえ、中国内に専門の研究所を開設するために150万ドルの資金を受け取っていた。

・オクラホマ州の米国石油企業に勤務していた中国人で米国永住権を持つ科学者ホンジン・タオは千人計画に加わり、その価値が10億ドルにも達する同社の高度技術の秘密を盗んだ容疑で逮捕された。2020年初めに有罪が確定し、現在服役中である。

・テキサス州で研究活動をしていた中国系科学者のシャン・シーは、潜水艦に使われる高度技術製品「シンタクティックフォーム」(軽量かつ高強度の複合材料によるプラスティック)に関する秘密技術を米国側から盗んだ罪で、2020年初めに有罪が確定した。シーも千人計画に応募しており、米国の高度技術を「消化」し「吸収」して中国の国有企業に役立てることを中国側に約束していた。

・中国系技術者のハオ・ザンは2020年6月、複数の米国企業から無線機器の企業秘密技術を盗んだ罪で刑事訴追された。ザンも千人計画に関わっていた。この技術は米国企業が開発に20年もの年月をかけてきた企業財産だった。

 日本もアメリカの圧力で調査を開始している。そのうち訴訟問題に発展するだろう。日本の学術会議は技術の軍事転用を禁止している。日本の国籍を持つ以上、日本国憲法の範疇で行動しなくてはならない。今年のホットな話題になりそうだ。

 千人計画の対象の人材は次のようなものである。

  • 国籍問わず、原則上55歳以下、海外で博士号を取得している者。
  • 当選された者は毎年中国での研究活動は6ヶ月以上であること。
  • 以下の諸条件のいずれに該当する者:
    • 海外の著名な高等教育機関、研究機関において教授またはそれに相当するポストに就いた者
    • 国際知名企業と金融機関において上級管理職を経験した経営管理人材及び専門技術人材
    • 自主知的財産権をもつ、またはコア技術を把握している;海外での起業経験を持ち、関連産業分野と国際標準を熟知する創業人材
    • 中国が至急に必要とするその他のハイレベルイノベーション創業人材

 グリーンカードが与えられ、所得税無しの支度金1600万円が与えられる。

 おそらく大学の先生には魅力的であろう。しかし結局は呪縛にはまる。私みたいな者にとっては自由が一番の魅力だ。まあ関係ないからいいか。

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