今年、天津市政府所有の国有企業「天津物産集団」のドル建て債がデフォルトしたことは、中国が今後、国有企業のデフォルトをどんどん容認する、というサインかもしれない。今までも国有企業のデフォルトがなかったわけではないが、外貨債市場におけるケースは中国の国有企業としては初めてであり、天津物産のように世界500強企業(2018年度132位)にランキングされているような企業をあえてデフォルトさせたのは、中国政府としての決断とみていいだろう。かつてなら中央が「輸血」して救済策をとっていたはずである。

 天津物産は11月22日に債務再編計画を示し、社債12億5000万ドル相当について、投資家に対して最大64%の損失を受け入れるか、表面利率を大幅に引き下げた上で支払いの遅延を認めるよう提案した。ドル債市場でデフォルトする中国公有企業としてはここ20年間で最大級となり、国有企業債の剛性兌付神話(元金絶対保障)はほぼ崩れたわけだ。

 天津物産は象徴的なケースなので大きく報じられたが、地方の国有企業のデフォルトが今年急激に増えた。11月30日までに、9社の国有企業がデフォルトを起こしている。去年は5社だったのでおよそ培増ということになる。

 次に地方債リスク。国有企業のデフォルト増の背景は、中央政府の方針転換もあるのだが、やはり地方政府の財政難が大きい。

 ブルームバーグによれば、来年は地方中小銀行と地方国有企業、地方債の資金連鎖に問題が起き、悪性循環が引き起こされる可能性が指摘されている。

 11月27日に中国財政部が発表したデータによれば、10月末までに全国の地方債務残高は21兆3800億元(2019年通して24兆元内に押さえるのが目標としていた)。フィナンシャル・タイムズによると、10月までに831の地方政府がデフォルトに陥って、「失信被執行人」、つまり中国で導入されている社会信用システムにおける「ブラックリスト」入りした。デフォルト総額は69億元となるが氷山の一角だ、としている。ちなみに去年、地方政府が償還期限を破った地方債総額は41億元だった。

 さらに2019年末に償還期を迎える地方債は2兆元。内モンゴル自治区フフホト市の都市建設債(城投債)「16呼和経開PPN001」(フフホト経済技術開発区)はかろうじてデフォルトを逃れたとブルームバーグが報じているが(ロイターはデフォルトしたと報じた)、いまだ、リーマンショック時の4兆元財政出動刺激策による隠れ債務の累積が地方を苦しめている。2020年の地方城投債の償還額は急増しており、陝西、寧夏、浙江などでは30%増、吉林、山西、福建、江西、天津では40%増、チベット、河北、雲南では50%増以上。償還圧力が前年より減ったのは上海市ぐらいだ。

来年は中小の銀行が危なそうだ。ここでも中小銀行は理財商品売り場と化しており、理財商品がデフォルトということになれば、パニックを引き起こす。そういえば、我々は海外取引を強化している。理由は中国で未払いが横行しているからだ。このような取引が行われている限り健全な成長などないように思う。

コメントを残す